ここで、ピュタゴラス数秘術と並んでよく見かける「カバラ数秘術」についても触れておこうと思います。
数秘術家の中には、自らの使っている数秘術が「カバラ数秘術」だと主張したり、「カバラ数秘術」について書かれた書籍も出ています。
ですが、カバラ数秘術と呼ばれるものも、実際のところピュタゴラス数秘術と中身は同じで、1〜9のルートナンバーにマスターナンバーの11、22(33)を加えたものです。
なぜ彼らが「カバラ数秘術」という名称を用いているのかといえば、カバラという「秘教的・神秘的なイメージ」が、人々の興味をより惹きつけるからでしょう。
彼らは、「数秘術はユダヤ教の神秘主義思想カバラで使われていた」と主張していますが、実際、カバラで現在のような数秘術が使われていた記録はありません。
ただ、カバラでは「ゲマトリア」と呼ばれる、文字を数字に変換して、聖書の隠された意味を読み解くということは行われていました。
そして、現代の数秘術でも文字を数字に変換するシステムを使ってナンバーを導き出しますが、この「文字を数字に変換するシステム」も、カバラ以前から存在していたものです。
(紀元前のギリシャでは数字が存在しなかったため、文字を使って数を表し、商取引に使っていたようです。)
このように、「ピュタゴラス数秘術」も「カバラ数秘術」も、もとを辿れば「数秘術の母」と呼ばれたミセス・バリエッタが研究・考案した数秘術が根底にあり、
現在多くの数秘術家が使っている数秘術のシステムはすべて、彼女の考案した数秘術システムを発展、アレンジしたものだということがお分かりいただけたと思います。
参考:数秘術の世界 あなたの人生を導く『数』の神秘 伊泉龍一・早田みず紀